二次元畑でつかまえて

アニメやゲームの感想をのんびりまったり。ボーイズラブの話もしたりするのでご注意を。

ハイスピードを観てきました

 公開終了ギリギリですが観てきましたので感想をば。
 ネタバレですのでまだ見ていない方はご注意を~!

  まず映像の美しさがすごいです。岩美町をモデルとしているという穏やかな海辺の町、入学シーンの桜の散る様子、空の突き抜けるような青やFreeの方でも描かれていますが動く水の迫るような躍動感。眺めているだけでも気持ちが浄化されるようなゆったりとした雰囲気と綺麗さでした。最初はそういった風景に気を取られていたのですが、どんどんキャラクター達と彼らが織りなす物語に引き込まれていきました。

 長々と書くときりがないので出来るだけ簡潔にまとめようと思いますが、まず「中学生」というテーマの扱い方がとても上手です。学校と家、それくらいの狭い世界の中で小学校とは違った環境に進んだキャラクター達の戸惑いや変容、また周囲の変化についていけないがゆえの焦りなどが丁寧に描かれていて胸が苦しくなりました。台詞だけではなくて、ふとした瞬間に見せる表情がとても細やかなんですね。自分が中学生だった頃、確かに今にして思えば小さなことで本気で思い悩んだ時期があったと少しほろ苦い気持ちになりました。

 周りに合わせられない(合わせることをしない)遙、自分が水泳を続けることに対して根本的な疑問を投げつけられ遙との関係に悩む真琴、兄・夏也に突き放され自分の殻に閉じこもる郁弥、遙の泳ぎを見て自信を失う旭。この四人がチームとして心の結びつきを強めていく様が本当に感動的です。それぞれ違った悩みを持ちあがく彼ら、自分のことだけでいっぱいになってしまってとてもじゃないけれどチームのことなんて考えられなかった彼らが、自分を悩ませる原因であった「周りの人々」のおかげで心を開いたり成長していき、最終的に一体となるまで絆を深めていきます。その過程が四人だけではなく、夏也や尚、怜や渚といった魅力的なキャラクターたちも含めて本当に感情の機微が細かく細かく表現されています。凛や宗介も脇役とは言えないほど物語の重要なファクターを担っていて、Free!から入ったファン、アニメのファンとしてもそれがとても嬉しく感じられました。

 具体的なシーンの説明になってしまいますが、遙がずっとすれ違っていた真琴に「真琴は真琴だろ」と告げるシーン、その時の真琴のはっとした表情、そして夜のプールのシーンは是非観ていただきたいです。ここのあたりからもう映画館で涙が止まりませんでした。郁弥の見せた涙や遙が見せた笑顔、そして最後の場面も。本当にいい映画を観させていただきました。

 一見、思春期に差し掛かった少年達のもがきやすれ違いという重くなりがちなテーマを、頼りがいのある夏也や優しく見守ってくれる尚、明るく社交的な貴澄に元気な旭といった素敵なキャラクター達のやりとりによって切なく胸が少し苦しくはあるけれどつらいとは思わせない、心の洗われるような青春の物語です。青春というよりは思春期と言った方が正しいかもしれません。高校時代が舞台であるFree!はキャラクターが成長していく青春のお話という印象ですが、ハイスピードはキャラクターが必死に自らの芽を伸ばそうと苦しみ悩んでいく思春期のお話といった感じがしました。

 ちなみに私は感動のあまり映画が終わったあと即チケット売り場に駆け付けて明日の分のチケットまで買ってしまいました。二回目観に行きます!
 新たな発見がありそうで、明日も楽しみです。

 お近くにまだ上映されている映画館のある方は是非是非劇場でご覧になってください!
 それではここまで読んでくださってありがとうございました!